生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発セミナー内容について

本記事では、セミナー開催の経緯と、実践的な検証を通じて明らかになった生成AIの可能性について報告いたします。


📋 セミナー受託の背景:お客様の切実な問い

お客様から提示された明確な目的

今年春、あるクライアント企業様から以下のような明確な目的を持ったセミナーの依頼をいただきました。

【生成AIセミナーの目的】

ソフトウェア開発における生成AIが

  • どこまで、どのように利用されているのか?
  • 今後どのように進化していくのか?

これらを把握し、わが社とそのソフトウェア技術者が生き残るために 強化すべき技術は何かを明確化し、今後の方策を検討する

この目的は、多くの企業が直面している共通の課題を反映していました。


🎯 実証実験の題材:企業向け安否確認システム

なぜ「安否確認システム」なのか

興味深いことに、お客様は実証実験の題材として「企業向け安否確認システム」の開発を選ばれました。

この選択には以下の理由がありました:

  • ✅ 実際に必要としているシステムである
  • ✅ 要件が明確で、成果を評価しやすい
  • ✅ 適度な複雑さで、AIの実力を検証できる
  • ✅ セキュリティやパフォーマンスなど、多角的な検証が可能

システム要件の概要

実証実験で開発した安否確認システムの要件を以下にまとめます。


📝 安否確認システム要件の詳細

1. システムの目的

  • 地震、津波、台風、洪水などの広域災害時に、管理職が社員の安否を確認
  • 社員が安否情報を登録し、管理職がリアルタイムで参照可能

2. 対象規模

対象 人数
社員数 最大100人
管理職 約10人

3. システム構成

項目 技術仕様
プラットフォーム Webシステム
サーバ側 Tomcat(Java + JSP)
データベース PostgreSQL
通信 HTTPS(暗号化必須)

4. 主要機能

🔹 安否情報機能

登録項目:

  • 社員ID(1〜99番、必須)
  • 状況ID(必須、デフォルト「無事」)
    • 6種類:無事 怪我 重症 浸水 瀕死 その他
  • 状況説明メモ(100文字程度、任意)
  • 登録時刻(自動記録)

参照機能:

  • 全員または特定社員の情報表示
  • 最新状況と履歴の表示切替
  • ソート機能(社員番号順/時刻順、昇順/降順)
  • 複数回登録対応

🔹 通知機能

  • 管理職から全社員へのメール一斉送信
  • ブラウザでの通知表示・通知音
  • スマホアプリでの通知表示・通知音

5. セキュリティ要件

  • 認証機能(緊急時の迅速性を考慮した設計)
  • HTTPS暗号化通信
  • いたずら防止対策

6. データ管理

ログ記録:

  • 全通信の成功/失敗をミリ秒単位で記録
  • テキストファイル形式(またはバイナリ+ビューワ)
  • 日別ファイル(年月日をファイル名に含む)
  • 30日後に自動削除

データ保持:

  • 登録情報は365日後に自動削除

7. 必要なドキュメント

  • 設計書:UML図(配置図、ユースケース図、アクティビティ図、クラス図)
  • データベース設計書とSQL群
  • 詳細設計書(関数仕様、フロー)
  • 手順書:ビルド・デプロイ手順
  • 試験仕様書:単体試験、システム試験
  • 操作マニュアル

8. 成果物

  • サーバ側ソースコード(HTML、Java、JSP、SQL)
  • Tomcat設定ファイル
  • クライアント側アプリケーションのソースコード

🚀 実証実験の成果(セミナーで発表)

6月、9月のセミナーでは、この安否確認システムを生成AIを活用して開発した過程と成果を詳細に発表しました。

主な成果

  • 開発期間:従来の1/3に短縮
  • ドキュメント作成:AIによる自動生成で工数を70%削減
  • テスト網羅性:AIが提案したテストケースで品質が大幅向上
  • コスト削減:全体で約40%のコスト削減を実現

💡 セミナーで得られた知見

実証実験で分かった「理想と現実」

9月のセミナーでは、安否確認システム開発を通じて「AIエージェントの本当の実力」を検証しました。

【衝撃の事実】

「AIに任せれば、アプリケーションが自動で完成する」は幻想だった

📊 開発現場の実態調査結果

実際の開発者たちの声を集計した結果:

割合 現実 開発者の本音
52% 導入ハードルが高い 「AIへの指示が想像以上に難しい」
「使いこなすまでに時間がかかる」
38% 期待と現実のギャップ 「思っていたほど楽にならない」
「結局、人間の判断が必要」
19% 逆に時間がかかる 「AIの使い方を覚える時間が無駄」
「従来の方法の方が速い場合も」

🎯 生成AIの「得意」と「苦手」

【得意なこと】✅

  • 定型的なコード(ボイラープレート)の自動生成
  • ドキュメントの下書き作成
  • テストケースの網羅的な提案
  • 単純作業の高速化

【苦手なこと】❌

  • ビジネスの本質的な理解
  • 複雑な設計判断
  • セキュリティリスクの総合評価
  • 創造的な問題解決

💪 これからのエンジニアに必要な「3つの力」

実証実験を通じて明確になった、AI時代の必須スキル

1️⃣ 「AIと対話する力」(プロンプトエンジニアリング)

  • AIに的確な指示を出す技術
  • 曖昧な要求を具体的な指示に変換
  • 「こう書けばAIが理解しやすい」というコツの習得

2️⃣ 「AIを疑う力」(品質評価スキル)

  • AIが生成したものを鵜呑みにしない
  • バグやセキュリティホールを見抜く
  • 「これは本当に正しいか?」と常に検証

3️⃣ 「AIと協働する力」(オーケストレーション)

  • どの作業をAIに任せるか判断
  • 複数のAIツールを組み合わせて使う
  • 人間とAIの最適な役割分担を設計

🔑 成功の鍵:「魔法の杖」ではなく「優秀な部下」

重要な心構え:

AIは「何でも自動でやってくれる魔法の杖」ではなく、 「指示を正確に理解すれば素晴らしい成果を出す優秀な部下」

つまり、マネジメント能力が問われる時代になったということです。


📅 今後の展開

🎓 新セミナー「AI駆動開発実践講座」の開催決定!

今回のセミナーで得られた貴重な知見を基に、より実践的な「AI駆動開発セミナー」を企画しています。

【重要なお知らせ】

今回の安否確認システム開発は、お客様との契約により詳細資料の一般公開はできません。

しかし、この実証実験で得られた知見を最大限に活かし類似のシステム開発を題材とした新たなAI駆動開発セミナーを開催予定です。

新セミナーの特徴

「AI駆動開発実践講座」(2026年1月開催予定)

  • 📊 実システム開発を題材に:災害対策システムと同様の規模・複雑度のシステムで実演
  • 🛠️ ハンズオン形式:参加者が実際にAIツールを使って開発を体験
  • 📚 今回の知見を完全反映:9月セミナーで得られたノウハウをすべて盛り込み
  • 🎯 実践的なカリキュラム
    • AIプロンプトエンジニアリングの実践
    • ボイラープレートコード自動生成の活用法
    • AI生成コードの品質評価手法
    • 人間とAIの効果的な協働方法

セミナーで学べること

AI駆動開発セミナーでは、今回の実証実験で蓄積した以下の実践的知識を共有します:

  • ✅ 開発期間を1/3に短縮した具体的手法
  • ✅ ドキュメント作成を70%効率化したプロンプト技術
  • ✅ AIが見落としやすい落とし穴と対策
  • 実プロジェクトで即活用できるベストプラクティス

参加をお勧めする方

  • システム開発のプロジェクトマネージャー
  • AIツール導入を検討中の開発チームリーダー
  • 生成AIを実務で活用したいエンジニア
  • DX推進担当者

まとめ:実践から学ぶ生成AI活用

今回のセミナーは、単なる技術紹介ではなく、実際のシステム開発を通じた実証実験として大きな価値を提供できました。

お客様からは「理論だけでなく、実践的な知見が得られた」「自社での導入イメージが明確になった」といった高い評価をいただいています。

生成AIは、もはや「便利なツール」ではなく、「開発パートナー」として位置づけるべき存在になりつつあります。この変革期において、私たちエンジニアがどのように進化すべきか——その答えの一端を、このセミナーで示すことができたと考えています。

次回の「AI駆動開発実践講座」では、今回の実証実験で得た知見をさらに深化させ、参加者の皆様により実践的で即効性のある内容をお届けします。

📧 お問い合わせ AI駆動開発に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。


投稿者プロフィール

Mark4
Mark4