トークン経済システムの全面改定 — RC_02の挑戦
アプリ内通貨を根本から作り直す — RC_01完了から次のステージへ
RC_01完了から、次のステージへ
wagahiアプリのRC_01(リリース候補第1版)が2025年末に完了し、2026年最初の大仕事はRC_02です。RC_02の最大のテーマは、トークン経済システムの全面改定。アプリ内の通貨システムを根本から作り直すという、かなり大胆な挑戦でした。
本記事では、なぜトークン経済システムを全面改定する必要があったのか、そしてどのように設計・実装を進めたのかをお伝えします。
なぜ全面改定が必要だったのか
RC_01までのwagahiアプリには、いくつかの課題がありました。
課題1: トークン換算レートのハードコーディング
従来のシステムでは、日本円からトークンへの換算レート(YEN_TO_TOKEN_RATE)がコード内に直接書かれていました。これでは、レートを変更するたびにコードの修正とデプロイが必要です。運用フェーズに入ることを考えると、管理画面から動的に変更できる仕組みが不可欠でした。
課題2: token_balancesテーブルの設計限界
既存のtoken_balancesテーブルは、単純な残高管理のみを想定した設計でした。ボーナストークンやイベントトークンなど、複数の種類のトークンを管理する拡張性がありませんでした。将来的なゲーム機能の拡充を見据えると、テーブル構造そのものを見直す必要がありました。
課題3: 広告とトークンの連携不足
wagahiアプリでは、キャラクターの擬人化画像生成にトークンを消費します。しかし、トークンが不足したユーザーへの導線が不十分でした。広告視聴でトークンを獲得できるRewarded広告の仕組みと、トークン経済をシームレスに連携させる必要がありました。
RC_02で実現した5つの改善
1. YEN_TO_TOKEN_RATE自動計算システム
管理画面から換算レートを設定すると、システム全体に自動反映される仕組みを構築しました。
- 管理者が基準レートを設定(例: 1円 = 10トークン)
- APIが自動的に各種計算に反映
- 変更履歴の記録と監査対応
これにより、プロモーション時のレート変更やイベント対応が、コード変更なしで実現できるようになりました。
2. ボーナストークン・イベントトークンの導入
トークンの種類を拡張し、以下の3種類を管理できるようにしました。
- 通常トークン: 購入・広告視聴で獲得する基本トークン
- ボーナストークン: 新規登録、ログインボーナス等で付与される特典トークン
- イベントトークン: 期間限定イベントで配布される時限トークン
各トークン種類に有効期限や使用優先順位を設定でき、ゲーム運営の柔軟性が大幅に向上しました。
3. 初回生成時の広告スキップ
新規ユーザーが最初にキャラクターを生成する際、広告を表示せずにスムーズに体験できるようにしました。
ゲームアプリの鉄則として、最初の体験は快適でなければならない。トークン不足で最初のキャラクター生成すらできない状態は、ユーザー離脱の直接的な原因になります。初回生成時にはシステムが自動的にトークンを付与し、広告表示をスキップする設計にしました。
4. Rewarded広告への誘導フロー
トークンが不足した場合のユーザー体験を改善しました。
- トークン残高が閾値を下回った時点で事前通知
- 「広告を見てトークンを獲得」ボタンの自然な配置
- 広告視聴後のトークン獲得アニメーション
- 強制的な広告表示ではなく、ユーザーの選択に委ねる設計
ユーザーに「広告を見させられている」ではなく「自分の意思でトークンを獲得している」と感じてもらうことが重要です。
5. token_balances廃止と新システム統合
旧token_balancesテーブルを廃止し、新しいトークン管理システムに統合しました。データマイグレーションスクリプトを作成し、既存ユーザーのトークン残高を新システムに移行。移行前後の残高一致を検証するテストも実施しました。
不明事象-140〜143の解決
RC_02の開発中に4件の不明事象(予期しないバグ)が発見されました。
- 不明事象-140: トークン消費APIで同時リクエスト時に残高が負の値になる問題 → 排他制御の追加で解決
- 不明事象-141: ボーナストークンの有効期限チェックがタイムゾーン未考慮だった問題 → UTC基準に統一
- 不明事象-142: イベントトークン付与時に通知が二重送信される問題 → 冪等性キーの導入で解決
- 不明事象-143: 広告視聴完了コールバックのタイミング問題 → 非同期処理の順序保証を追加
不明事象管理プロセスがRC_01で確立されていたおかげで、4件とも発見から解決まで迅速に対応できました。
AI駆動開発でトークン経済を設計する
トークン経済の設計は、技術的な実装だけでなくゲームデザインの要素も含む複合的な課題です。Claude Codeとの協働では、以下のアプローチが有効でした。
- 設計書駆動: まず設計書でトークンの流れを明確に定義し、それに基づいてClaude Codeが実装
- シミュレーション: トークンの消費・獲得パターンをシミュレーションし、バランスを検証
- 段階的実装: 基盤(DB設計・API)→ ロジック(計算・検証)→ UI(表示・操作)の順で実装
特に重要だったのは、設計書でトークンの流れを可視化すること。「ユーザーがどこでトークンを獲得し、どこで消費するのか」というフロー図を設計書に含めることで、AIも人間も同じ理解のもとで開発を進められました。
まとめ
RC_02のトークン経済システム全面改定は、wagahiアプリの運用基盤を大きく強化するものでした。YEN_TO_TOKEN_RATE自動計算、ボーナス・イベントトークン、広告連携の改善。これらはすべて、本番リリース後の運用を見据えた設計です。
次回は、RC_02のもう一つの大きなテーマ「キラキラ玉からトークンへ — ゲーム内通貨の一本化」についてお伝えします。
本記事は2026年1月時点の開発状況に基づいています。
著者: 株式会社シーテン — インフラ系から宇宙関連システムまで20年以上の開発経験を持つ技術者集団。2025年より生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発に本格参入し、自社プロダクト「wagahi」の開発を通じて実践知見を蓄積中。
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