AI駆動開発5ヶ月の実践報告 — 生産性と品質の両立を目指して

設計書239件、テスト887件、不明事象74件 — 数値で振り返る5ヶ月の歩み

7月の構想開始から5ヶ月

2025年7月にwagahiアプリの構想を開始し、Claude Codeを中心としたAI駆動開発に着手してから5ヶ月が経過しました。MVP_01からMVP_05まで5つのマイルストーンを完了し、現在はRC_01(リリース候補版)の開発に入っています。

本記事では、5ヶ月間の実践を通じて得られた数値データと、生産性と品質を両立させるために確立したプロセスを報告します。

5ヶ月の開発実績 — 数値で振り返る

設計書

  • プログラム設計書: DB 8件 + Backend 105件 + Frontend 27件 = 140件を自動生成
  • 管理者機能追加: MVP_05でさらに99件を追加作成
  • 品質レビュー: 99件に対して189件の指摘を検出し、全対応完了
  • 準拠性検証: 全設計書の準拠性100%を達成

テスト

  • 単体テスト: 887件全合格(Spring Boot 3.5.0アップグレード時に検証)
  • 結合試験: 51項目、272期待結果、100%合格を達成
  • E2E試験: 3項目、15期待結果、100%合格

不明事象

  • 発見数: 不明事象-059〜-114の56件(MVP_01〜05期間)
  • 解決率: 100%(全件解決)
  • 平均解決時間: 発見から解決まで平均2〜3日

開発期間

  • MVP_01(7月〜9月): 基盤構築、設計書140件生成、DB実装
  • MVP_02(9月22日〜28日): 7日間スプリント、チャット機能強化
  • MVP_03(10月1日〜6日): 6日間、Magic Link認証への全面移行
  • MVP_04(11月23日〜12月4日): 12日間、ステージング環境構築
  • MVP_05(12月4日〜26日): 23日間、管理者ダッシュボード

生産性を支えた3つの仕組み

1. 設計書駆動開発

AI駆動開発で最も効果的だったのは、設計書をAIと人間の共通言語として活用するアプローチです。Claude Codeにプログラム設計書を読ませ、その設計書に忠実な実装を生成させることで、「AIの勝手な解釈」を防止しています。

設計書は7フェーズ方式で依存関係を考慮した順序で生成し、各フェーズ完了時にビルド・テスト通過を必須としています。この段階的アプローチにより、大規模な機能追加でも品質を維持できます。

2. 不明事象管理プロセス

AI駆動開発で予想外のバグに遭遇した場合、当社は「不明事象」として管理しています。不明事象は番号を振って追跡し、解決後は設計書にフィードバックします。

このプロセスにより、同じ種類のバグの再発を防止し、設計書の品質を継続的に向上させています。5ヶ月間で56件の不明事象を管理・解決し、このプロセスはプロジェクトの品質基盤として完全に定着しました。

3. 試験自動化

Playwright MCPとChrome DevTools MCPを活用した結合試験の自動化は、生産性と品質の両面で大きな効果をもたらしました。試験手順書に基づいてAIが自動的にブラウザを操作し、スクリーンショットを取得し、期待結果を検証します。

手動での結合試験は1項目あたり30分〜1時間かかりますが、自動化により数分で完了します。浮いた時間をコードレビューや設計改善に充てることで、品質向上のサイクルが加速しています。

品質を犠牲にしないための教訓

5ヶ月の実践を通じて学んだ、品質に関する教訓を共有します。

AIの出力は必ず検証する

AIが生成したコードやテストは、必ず人間がレビューします。特に定数クラス、エラーコード、命名規約など、プロジェクト固有のルールに関わる部分は、AIが推測で実装してしまうリスクがあります。

設計書と実装の整合性を常に確認する

AIは過去のセッションで学んだ情報に基づいて実装することがありますが、設計書が更新されている場合、古い情報に基づいた実装をしてしまうことがあります。実装前に必ず最新の設計書を確認させるルールを徹底しています。

推測を許さない文化

「たぶんこうだろう」という推測に基づく実装は、最も危険なパターンです。不明点は必ず確認する。設計書に記載がなければ質問する。このルールを徹底することで、手戻りを最小化しています。

今後の展望

RC_01(リリース候補版)の開発が進んでおり、年内の完了を目指しています。2026年は本番リリースとサービス運用に向けた取り組みが本格化します。

AI駆動開発は万能ではありませんが、適切なプロセスと品質管理の仕組みを組み合わせることで、確実に開発の生産性と品質を向上させることができます。当社の実践報告が、AI駆動開発に取り組む方々の参考になれば幸いです。


本記事は2025年11月時点の情報に基づいています。

著者: 株式会社シーテン — インフラ系から宇宙関連システムまで20年以上の開発経験を持つ技術者集団。2025年より生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発に本格参入し、自社プロダクト「wagahi」の開発を通じて実践知見を蓄積中。

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