CES 2026で見えたAIの次の姿 — テレビからクルマまで

過去最大規模のAI展示 — AIが家電と車に本格到来した年

CES 2026はAI一色だった

毎年1月にラスベガスで開催されるCES(Consumer Electronics Show)。2026年のCESは、過去最大規模のAI関連展示が行われ、「AIが家電と車に本格到来した年」として記憶されることになりそうです。

ソフトウェア開発者として、普段はコードとAPIに向き合う日々ですが、CESのようなハードウェア寄りのイベントから見えるAIの未来は、また違った視点を提供してくれます。

Gemini TV機能 — テレビがAIアシスタントになる

CES 2026で最も注目を集めたのが、GoogleがSamsung、LG、Sonyと共同で発表したGemini TV機能です。

何ができるのか

  • 番組内容の理解: 「今テレビに映っている俳優は誰?」「このシーンの背景にある歴史的事実は?」などの質問に、リアルタイムで回答
  • 視聴履歴ベースのレコメンド: 過去の視聴パターンから、好みに合う番組を提案。「先週見たドキュメンタリーに似た番組」などの自然言語リクエストに対応
  • マルチモーダル検索: 画面に映っている料理、風景、製品などを認識し、関連情報を表示
  • アクセシビリティ: 映像の音声解説、字幕のリアルタイム翻訳、要約生成

技術的な実現方法

Gemini TV機能は、クラウドとエッジのハイブリッド処理で実現されています。

  • オンデバイス: 基本的な画像認識、音声認識はTV内蔵チップで処理
  • クラウド: 複雑な推論、大規模な知識検索はGemini APIを経由
  • レイテンシ: エッジ処理により、応答速度は1-2秒を実現

Chrome Auto Browse — ブラウザが自律的に動く

Googleが発表したもう一つの注目機能が、Chrome Auto Browseです。

概要

  • 自律的なWebブラウジング: 「最安値の航空券を探して」「このレシピの材料をオンラインスーパーで注文して」などのタスクを、AIが自律的にブラウジングして遂行
  • 複数タブの同時操作: 価格比較のために複数のサイトを同時に開いて比較
  • フォーム自動入力: 予約フォームや注文フォームをユーザーの情報で自動入力(ユーザーの最終確認は必須)

開発者としてこの機能を見ると、Playwright MCPで実現していることのコンシューマー版だと感じます。wagahiアプリの結合試験で、Playwright MCPを使ってブラウザ操作を自動化していますが、同様のアプローチがエンドユーザー向けに提供されるわけです。

車載AI — クルマがパーソナルアシスタントになる

CES 2026では、自動車メーカーのAI展示も充実していました。

主な展示内容

  • Mercedes-Benz: 車内AIアシスタント「MB.OS」が、ドライバーの状態(疲労度、感情)を検知して最適なルートや休憩を提案
  • BMW: 車外環境の自然言語説明。「右側の建物は何?」「この道路の制限速度は?」にリアルタイムで回答
  • Hyundai: 車両の故障予測AI。センサーデータを分析し、「3,000km以内にブレーキパッドの交換が必要」などの予防保全を通知
  • NVIDIA: 自動運転用AIチップ「Thor」の次世代版。車載AI処理を1チップに統合

ソフトウェア開発者の視点

車載AIの進化は、ソフトウェア開発者にとっても無関係ではありません。

  • APIエコシステム: 車載AIプラットフォームが外部開発者にAPIを公開する動きが加速。スマホアプリと同様に、車載アプリの市場が形成される
  • エッジAIの重要性: 車載環境では常時クラウド接続が保証されないため、エッジ処理の最適化が必須
  • リアルタイム処理: 運転中のAI応答には数十ミリ秒のレイテンシ要件。これは通常のWebアプリとは桁違いの制約

エッジAIの台頭

CES 2026全体を通じて感じた最大のトレンドは、エッジAIの本格化です。

なぜエッジAIが重要か

  • プライバシー: データをクラウドに送信せず、デバイス上で処理
  • レイテンシ: ネットワーク遅延なしでリアルタイム処理
  • オフライン動作: インターネット接続がなくても基本機能が動作
  • コスト: クラウドAPI呼び出しコストの削減

wagahiアプリでも、将来的にはエッジAI(ローカルモデル)の活用を検討しています。特に、トークン消費を抑えたい軽量なタスクや、プライバシーに配慮が必要な機能での活用が有望です。

まとめ — AIはスクリーンの外に出る

CES 2026で明確になったのは、AIが「パソコンやスマホの中のもの」から「あらゆるデバイスに組み込まれるもの」へと進化しているということです。

  • テレビ: Gemini TV機能で視聴体験が変わる
  • ブラウザ: Chrome Auto Browseで操作の自動化
  • クルマ: 車載AIで移動体験が変わる
  • 家電全般: 洗濯機、冷蔵庫、エアコンにもAIチップ搭載

ソフトウェア開発者としては、「Webアプリ開発」の枠を超えて、これらの新しいプラットフォームでのAI体験をどう設計するかが、次の課題になりそうです。wagahiアプリの開発で培ったAI統合の知見が、これらの新領域でも活きる日が来るかもしれません。


本記事は2026年1月時点の情報に基づいています。

著者: 株式会社シーテン — インフラ系から宇宙関連システムまで20年以上の開発経験を持つ技術者集団。2025年より生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発に本格参入し、自社プロダクト「wagahi」の開発を通じて実践知見を蓄積中。

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