TCGカード風UIとキャラクター擬人化 — AIが生む新しいゲーム体験
探索と収集の楽しさを形に — ゲーム要素決定アルゴリズムとカードUI設計
ゲームとしての魅力をどう生み出すか
wagahiアプリの開発も終盤に差し掛かり、MVP_05からRC_01(リリース候補版)へ。技術基盤は整った。認証も管理機能も揃った。最後に残ったのは、ゲームとしての魅力を形にすることでした。
位置情報ゲームの醍醐味は「探索」と「収集」です。ポケモンGOがモンスターの収集で爆発的にヒットしたように、wagahiアプリもキャラクターの収集と育成に焦点を当てています。その体験を視覚的に表現するために選んだのが、トレーディングカードゲーム(TCG)風のUIでした。
ゲーム要素決定アルゴリズム
RC_01(2025年12月26日〜2026年1月15日)で実装した核心機能が、ゲーム要素決定アルゴリズムです。
ユーザーがカメラで撮影した対象物をGemini APIが分析し、以下のゲーム要素を自動決定します。
- レアリティ: コモン、アンコモン、レア、スーパーレア、ウルトラレアの5段階
- 属性: 火、水、風、土、光、闇の6属性
- ステータス: HP、攻撃力、防御力、素早さの4パラメータ
- 特殊能力: 地域性や対象物の特徴に基づくユニークスキル
アルゴリズムの設計で重視したのは「撮影した対象物の特徴が反映される」こと。たとえば、大きな自販機はHPが高く、新しい自販機は素早さが高い。地域の特産品に関連する自販機には特殊な属性が付与される。このような「納得感のあるランダム性」をGemini APIのプロンプト設計で実現しました。
実装はPhase 1-5の5段階で進め、182件のテストを追加。システム試験(ST-RC01-GAME-001/002)も100%合格を達成しました。
擬人化4スタイル — AIによるキャラクターデザイン
wagahiアプリのもう一つの特徴が、4つの擬人化スタイルです。
- リアル: 写実的な擬人化。対象物の特徴を忠実に反映
- アニメ: 日本のアニメ風の擬人化。大きな目、鮮やかな色使い
- ドット絵: レトロゲーム風の擬人化。ピクセルアートの温かみ
- 水彩画: 柔らかいタッチの擬人化。芸術的な表現
4スタイルの統合により、同じ対象物でも全く異なる見た目のキャラクターが生成されます。ユーザーは好みのスタイルを選んでカードに設定でき、コレクションの多様性が大幅に向上します。
画像DB格納 — 技術的課題と解決
擬人化画像の管理には、PostgreSQLのbytea型を使用してデータベースに直接格納する方式を採用しました。
一般的にはAmazon S3などのオブジェクトストレージに画像を保存し、URLで参照する方式が主流です。しかしwagahiアプリでは以下の理由からDB格納方式を選択しました。
- データの一貫性: キャラクターデータと画像データをトランザクション内で一括管理
- 暗号化: データベースの暗号化機能をそのまま画像にも適用可能
- バックアップ: データベースバックアップに画像も含まれるため、復旧が容易
Phase 1-4の4段階で実装し、4スタイルの画像データを効率的に格納・取得する仕組みを構築しました。
カードフリップ3段階アニメーション
TCGカード風UIの仕上げとして、3段階のカードフリップアニメーションを実装しました。
- 表面: キャラクターの擬人化画像、名前、レアリティ表示
- 裏面1: ステータスパラメータ、属性、特殊能力の詳細
- 裏面2: flavorText(キャラクターの物語テキスト)、収集日時、撮影場所
カードをタップするたびにフリップアニメーションで面が切り替わります。CSS3のtransformとtransitionを活用し、滑らかな3D回転エフェクトを実現しました。
不明事象-115〜122の発見と解決
RC_01の開発中にも、新たな不明事象が8件(-115〜-122)発見されました。ゲーム要素のランダム性に起因する再現困難なバグ、画像データの大きさによるレスポンス遅延、擬人化スタイル切り替え時のステート管理問題など、新機能特有の課題です。
しかし、MVP_01から確立してきた「不明事象管理→設計書フィードバック」のプロセスにより、すべて迅速に解決できました。不明事象の管理プロセスは、プロジェクトの品質を支える重要な基盤として完全に定着しています。
2025年の開発を振り返って
7月の構想開始から12月のRC_01完了まで、約6ヶ月。AI駆動開発で位置情報ゲームを作るという挑戦は、想像以上に多くの学びをもたらしました。
- 設計書140件+99件を自動生成し、品質検証プロセスを確立
- 結合試験の完全自動化により、51項目272期待結果を100%合格
- 不明事象122件を管理・解決し、設計書フィードバックループを定着
- 5つのMVP+1つのRCを約110日間で完了
AI駆動開発は「魔法」ではありませんが、確実に開発の常識を変えています。2026年は、この基盤の上に本番リリースとサービス運用を積み重ねていきます。
本記事は2025年12月〜2026年1月時点の情報に基づいています。
著者: 株式会社シーテン — インフラ系から宇宙関連システムまで20年以上の開発経験を持つ技術者集団。2025年より生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発に本格参入し、自社プロダクト「wagahi」の開発を通じて実践知見を蓄積中。
関連記事:
投稿者プロフィール




