1457年の江戸を、地図の上に再現する試み

「吾輩アプリ」のプロモーションから生まれた副産物

当社は現在、「吾輩アプリ」のプロモーション用YouTube動画制作の一環として、江戸時代の歴史地図を可視化する「江戸マップ」というツールを開発しています。今回は、その中でも特に手間をかけた「1457年の江戸」の再現についてお伝えします。

徳川家康入城前の江戸を描く

1457年は、太田道灌が江戸城を築城したとされる年です。徳川家康が入国する1590年よりも130年以上前、江戸はまだ「日比谷入江」と呼ばれる入り江が現在の日比谷公園から丸の内付近にかけて広がり、江戸前島という半島状の地形を西から取り囲むように水域が存在していました。現在の東京の景観からは想像しにくい、まったく異なる海岸線です。

複数の学術資料を突き合わせる

この地形をどう地図上に再現するか——単純な話ではありません。当社では、貝塚爽平(1979年)、鈴木理生(1989年)、松田磐余(2013年)といった複数の地形学・歴史地理学の資料を突き合わせ、1457年当時の海域の推定範囲をGeoJSON形式のポリゴンデータとして構築しました。データには「推定」であることを明記し、複数の年代(1457年・1478年・1590年)にわたって表示を切り替えられるようにしています。

埋め立ての歴史も表現する

徳川家康が入国した1590年頃には、入江北部の縮小がすでに始まっていました。1603年以降の江戸城拡張工事(神田山の切り崩し)によって、この水域は大規模に埋め立てられていきます。江戸マップでは、こうした時代ごとの地形変化を、年代スライダーで切り替えながら確認できる設計にしています。

開発者としての振り返り

歴史地図の再現は、単なる地図データの入力作業ではなく、複数の学術資料の間にある解釈の違いをどう扱うかという判断の連続でした。「推定」という不確実性を隠さずに表現すること自体が、歴史コンテンツを扱う上での誠実さだと考えています。


本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。

著者: 株式会社シーテン — インフラ系から宇宙関連システムまで20年以上の開発経験を持つ技術者集団。2025年より生成AI・AIエージェントを活用したAI駆動開発に本格参入し、自社プロダクト「wagahi」の開発を通じて実践知見を蓄積中。

投稿者プロフィール

Mark4
Mark4